KLab社長 真田哲弥のブログ

KLab株式会社(クラブ)社長 真田哲弥が経営者対談を行い、ビジネスアイデアをお伝えするブログです。


5【後編】トップ画_ロゴ無し
AIを使った投資用不動産取引のプラットフォームビジネスというユニークな事業を展開しているリーウェイズ代表取締役社長の巻口さんとの対談。後編は、スタート時期の知名度向上をどうするべきか? また、顧客ターゲットを“理系脳”と“文系脳”に分ける考え方について―。 

◆スタート期の知名度アップに何をする? 
 
巻口 
事業をドライブさせていくため、認知度向上が大切だなと感じています。そこでメディア戦略など、注目を集める方法についてご教示いただけませんか。 
 
真田 
まずは、腕利きの広報スタッフを雇って、メディア露出を高めることからだね。 
 
また、商品の説明だけだとは記事にされにくいから、戦略やストーリーが必要だね。アメリカの大統領選じゃないですけど「アメリカ・ファースト」といったような、感情に訴えかけるレッテル貼り。そうした、ワンフレーズでわかりやすいことを言ってくれる人にメディアはページを割くんです。 
 
ですから、メディア戦略をやるうえでは「不動産で1億儲けました」といった、「そんなアホな」みたいな方がいいので、一般にわかりやすい標語で訴求する。そして、プロの不動産会社や投資家向けにはロジカルに説明する。そうした使い分けをしたほうがいいでしょう。 
 
◆「無名時代」こそ有名人を広告塔に起用しよう 
6【後編】真田だ代表
 
 
真田 
また、イメージキャラクターに有名人を起用するという手段があります。これはいまやったほうがいいかも。思ったよりお金もかかりません。 
 
スタートアップのお金がない頃って、怖いから成功報酬型広告にしかお金を出せないんですよね。でもランディングページまで来てくれても、会社やサービスの知名度 信頼度がないから、なかなか購買に結びつかない。 
 
結局CPA(Cost Per Acquisition)が高くつく。特にリーウェイズさんのような高額商品の場合は単に知っているだけではダメで、信頼感のブランディングが必要です。 
 
会社やサービスに知名度 信頼度がない時こそ有名人のイメージキャラクター起用は有効です。メジャー感が出るのでコンバージョンレートが上がります。トータルの宣伝広告費から比べると安いことが多いですよ。 
 
◆意外に安いテレビCM 
 
真田 
認知度を上げるだけなら、実はテレビCMは意外と割安です。 
 
テレビを見ている人って無条件にテレビを信じる傾向があります。単に認知を上げるだけではなく、有名人効果と同じく信頼度を上げる効果があります。 
 
ただ、テレビCMを見て流入する人は、マーケティング用語で言うアーリーマジョリティやレイトマジョリティ。実績があるものに乗っかっていくけど、自ら率先して新しいものを購入しない“怖がり”な人たち。そこから先のコンバージョンに進まない人たちです。 
 
なので、テレビCMを出すのはタイミングを見計らう必要があるのと、WEBや新聞など他のメディアとのメディアミックスが大切です。リーウェイズさんの場合、まだ早いかもしれません。 
 
◆顧客ターゲットを変えてみたら? 
7【後編】対談画像
真田 
もうひとつ、提案してもいいですか? 
 
巻口 
是非、お願いします。 
 
真田 
リーウェイズさんが提供しているようなサービス内容を、打てば響くように理解できるタイプ人と、なかなか理解できないタイプの人がいると思うんです、世の中には。 
 
本屋さんに行くと不動産投資本がいっぱいあるじゃないですか。「サラリーマン大家さんで儲ける方法教えます」とか、「ホンマかいな」(笑)と思えるような、本がずらーっと置かれていて、結構、売れてるんですよね。 
 
その手の大家本は、「築浅」「駅チカ」という抽象的な用語で書いてあって、「1年間経過すると何%劣化するから築何年で何%」のような表現はしないんだよね。 
 
「壁の色を明るく塗ったから満室」みたいな感覚的な不動産投資の本が売れるのは、現物不動産の投資をやっている個人投資家は“感覚脳”の持ち主だからなんじゃないかな。 
 
“感覚脳”の人とは、数字やロジックではなく、感覚で「それ、ステキね」と思う人たちのことです。そうした“感覚脳”の人たちにとってリーウェイズさんがやってるFVとかDCF法といった評価方法は小難しくて、よくわからない。 
 
逆にIRRとかをパッと計算できるような“理系脳”の人にとって、不動産は数字だけでは割り切れないのでとっつきにくいんですね。「立地とか内装とか、よくわかんないよ」「現地に見に行って確かめるのなんて面倒」と思ってしまう。 
 
だから、“理系脳”の投資家たちは数字だけで判断できる債券や株式、ETFなどの金融商品をネットを通じて売買しているんですよ、きっと。不動産だったら現物ではなくREITとかね。リーウェイズさんの数学的でロジカルなサービスは、そうした“理系脳”の人たちと親和性がありそう。 
 
ここからが次の一手の提案です。 
 
不動産を既存のマーケットにいる“感覚脳”の人たちに売るのではなく“理系脳”の人たちに売ることを考えてはいかがでしょうか。 
 
“理系脳”の人たちはどこに生息するか? 金融マーケット生息しています。ならば、ネット証券やネット銀行、FXで売れる商品を開発できないでしょうか? 
 
たとえば、現物での資産運用ではなく、証券化した金融商品にして販売するという手もありそう。そう思います。AIでFVなどを算出したレポートをつけ、1億円の物件を証券化して10万円単位で投資家に販売する、といったイメージです。 
 
REITのようにバスケット化すると本当に金融商品になってしまうのでその一歩手前の感じですかね。でも、法律面とか難しそうかな。 

巻口 
今日は貴重な経営のリアルな話をいろいろと聞かせていただき、ありがとうございました。今後の事業戦略に反映させていきます! 
8【後編】ツーショット画像
 
 
対談後記 
不動産テックって、メディアで読んだことはあったけど、実際に事業をやっている人に初めて会いました(笑)。 日本ではまだまだこれからの領域なので、ブルーオーシャンですね。是非がんばって欲しいです。 
 
==今回の対談相手== 
巻口 成憲(まきぐち しげのり) 
リーウェイズ株式会社 代表取締役社長 
1971年、新潟県生まれ。1994年に国内不動産デベロッパーに入社。2000年に世界4大会計事務所グループのコンサルティングファームに転職。2005年にリノベーション投資不動産会社の立ち上げに参画。2014年に不動産テックベンチャーのリーウェイズ株式会社を設立。人工知能とビックデータによる不動産取引プラットフォーム「Gate.(ゲイト)」を運営。 https://leeways.co.jp/  
お問い合わせ先 :https://leeways.co.jp/contact/ 

<巻口さんよりメッセージ >
「Gate.」は投資用不動産の収益価値を高精度でシミュレートできる国内唯一のサービス。 投資用不動産業界における私の20年近い実務経験と5年間の経営コンサルタントとしての分析力をデータサイエンティスト・データアナリスト・エンジニアが形にし、“リアルとテクノロジーの融合”を実現しています。資産価値に基づいて不動産取引できるオープンプラットフォームとして、不動産投資環境の変革に寄与していきます。(巻口さん) 

【前編】トップ画像_ロゴ無し

今回の対談相手はリーウェイズ代表取締役社長の巻口さん。AIによる将来の資産価値(FV)算出で「表面利回りと気合と根性」という旧来の不動産ビジネスの変革に邁進する不動産テックベンチャーの経営者です。 まずは
リーウェイズの「Gate.」のサービス解説動画をご覧ください。



◆不動産取引プラットフォームのビジネスモデル

巻口 当社は2014年2月に創業した、AIとビックデータによる不動産取引プラットフォーム、「Gate.(ゲイト)」を運営する不動産テックベンチャーです。 5,000万件を超える物件データを独自収集し、そのビッグデータを活用して不動産投資の分析シミュレーションを行う人工知能を独自開発。高精度の収益分析のもとで投資用不動産を取引できるさまざまなツールを提供しています。 最大の特徴は、現時点の取引相場価格を提供するだけの従来の不動産サービスとは異なり、物件の将来の資産価値(FV)を人工知能によってシミュレートできること。物件情報の検索やAIによる簡易シミュレーションは無料で利用できます。 ユーザーは不動産投資家、物件を仲介する不動産会社、不動産に融資をする金融機関を想定しています。
真田 投資家と不動産会社をマッチングする不動産取引プラットフォームということですが、御社のビジネスモデルは「売り方」と「買い方」、どちらから収益を得ているんですか。
巻口 物件を提案する不動産会社と融資をする金融機関からです。収益源は、Gate.が提供する分析ツールの利用料、それと成約時の手数料。ちなみに手数料は、成約時の仲介手数料の20%です。
真田 なるほど。とても将来性があるビジネスだと思います。
◆プラットフォーマーの前に「ファーストパーティー」としての成功を目指せ!
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巻口 当社は投資用不動産取引のプラットフォームビジネスを展開しているわけですが、プラットフォームビジネスで成功するコツがあれば教えてください。
真田 過去成功したプラットフォームには共通項があります。それは、サードパーティーではなくプラットフォーマー自身がファーストパーティーとしてプラットフォームを牽引していることです。 当社が属しているゲーム業界を例に解説しましょう。 DeNAさんは「モバゲー」、GREEさんは「GREE」というゲームのプラットフォームで成功しました。しかし、両社はもともとプラットフォームを提供しようとしていたワケではなく、自社のゲームを開発していました。 自社開発ゲームが大ヒットしたことによりユーザーが増え、サードパーティーに開放し、結果的にプラットフォーム化されたのだと思います。 当時、「モバゲー」「GREE」に続く3匹目のどじょうを狙うゲームプラットフォームがたくさんでき、当社にも「ゲームを出しませんか」と言うお誘いをいただきました。しかしお断りしました。 「モバゲー」の場合はDeNAさんの自社タイトル『怪盗ロワイヤル』がひとつの指標となり、目標や手本となりました。しかし、そのようなヒット作がなくてユーザーがいないプラットフォームには魅力はありませんでした。 企画書にどれだけ書いても、営業マンがどれだけ雄弁でも、実績・実例がなければ、説得力がない。この実績・実例をプラットフォーマー自らつくるのが、ファーストパーティー戦略の基本。 任天堂におけるマリオ、マイクロソフトにおけるExcelもしかり。まずファーストパーティーのヒット作がプラットフォーム全体の集客力をつくる。その集客力に惹かれてサードパーティーが集まってくる。 そのサードパーティーによって賑わいと多様性、網羅性が生まれ、ますます集客力が増す…という好循環が形成されることによって、プラットフォーム全体が成長していく。これが理想形ですね。
◆実は大きい“ファーストパーティー”収益 4【前編】真田代表
真田 もうひとつ、プラットフォームビジネスで成功するためのポイントがあります。それはプラットフォームとしての収益とファーストパーティーの収益のバランスを上手く取ることです。 プラットフォーマーは、ファーストパーティー収益によって利益が最大化されるんじゃないかな。自社プラットフォームで自社商品って、控除されるものがないから、実はすごい利益率が高い。 プラットフォームビジネスは寡占できるまでの間、普及を優先するからは利益率が低いことが多い。その時期にファーストパーティー収益を出せれば、プラットフォームは素早く立ち上がる。結局はバランスと組み合わせの問題かな。 Amazonの場合だと、あまり数が出ないロングテール商品はサードパーティーが販売することによって品揃え、網羅性を担保。よく売れる売れ筋商品は自社で販売。自社商品が一番上に表示される。この部分がファーストパーティー収益でAmazonの場合は、ここが一番大きい。 そして、もっと売れる定番商品はPB(Private Brand)をつくり、メーカーとしての収益まで持っていく。まあ、ここまでできるのは、Amazonが圧倒的強者で、立場が強いからだけど。 美味しいところはしっかり自前で抑える。これは結構、重要なポイントだよね。戦略として持っているだけで、会社全体の売上や利益率が大きく変わると思いますよ。
巻口 当社の場合、不動産会社から“競合相手”と警戒されることを避けるため、自身はプレーヤーにならずに、参加企業から成功事例を出すことでGate.を盛り上げようとしています。
真田 もちろん、スタートアップだし、立場が強いワケではないし、おっしゃる意味はわかります。スタートアップで弱いからこそ、警戒されない時期だという見方もできます。 なにも自社直営じゃなくてもいいわけで、子会社だったり、名前を変えたりして。そうして「Gate.を使えば儲かります」という見せ方を是非、考えてみてください。
巻口 なるほど。勉強になります。

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